史記を語る (岩波文庫)



史記を語る (岩波文庫)
史記を語る (岩波文庫)

ジャンル:歴史,日本史,西洋史,世界史
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『史記』の面白さ

『史記』への格好の入門と紹介では釘打ってありますが、私はむしろ、本書は『史記』をある程度読んだ事のある人や、東洋史についての基礎的な知識のある人にとってより楽しめる一冊だと思います。『史記』全体の概説・要約本はあまたありますが、本書ほどにその背景にある、司馬遷の歴史観・価値観などに踏み込んだ説明を施している本はほとんどないといってもよいでしょう。宮崎氏は該博な知識を武器に独創的な推論を立てていますが、その中でも特に興味深いのが古代中国の都市市民文化論です。春秋戦国時代というと封建制という印象が強すぎるが、都市市民の間には、古典ギリシャ・ローマにも引けを取らない自由を尊ぶ文化が栄えていたという氏の指摘には納得させられました。
司馬遷が企図した記述構造に注目した『史記』入門書

西にヘロドトスの『歴史』があれば、東に司馬遷の『史記』がある。歴史を重んずる中国人が『漢書』『後漢書』『三国志』から『明史』に到る数々の正史(各王朝によって編まれた正式の歴史書)の元祖がこの『史記』である。日本を代表する中国学の泰斗、宮崎市定博士は、この歴史書の成立と構造の全容の解明を試みた。しかし博士独特の読みやすく、人を引き付ける文体で、格好の『史記』入門になっている。司馬遷は「紀伝体」という新しい編纂方式を創始した。各王・皇帝ごとにまとめられた「本紀」、各諸侯や孔子のような諸侯に等しい価値を認めれらた人物を記述する「世家」、歴史のなかで注目すべき人物について述べられた「列伝」。このような構造で整理された歴史記述を「紀伝体」と呼ぶ。『史記』以降の中国の正史はほぼこの「紀伝体」を模範として編纂されるのである。宮崎博士は司馬遷がどのような経緯でこのような編纂意図を持ったかを本書において肉迫している。



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